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2007年も3分の2が経過! [生活]


早いもので今日は8月31日、二十四節気でいえば、熱さが峠を越す「処暑」と露ができはじめる「白露」の間になるか。そして、昼夜の長さが同じになる「秋分」はすぐそこに。熱いと文句を言い、熱さが過ぎると名残惜しいもの。我が家のベランダ菜園の朝顔は、今年は惨憺たるものだった。折角作った棚もスキスキ状態、花は1日に3〜4つ程度。

昨年までは大きな花を毎日数えきれない程つけていたのだが、今年は土が悪かったか、手入れが悪かったか、気候が合わなかったか、もともと種が悪かったのか?そういえば、昨年までは収穫の種を蒔いていたが、今年は買い求めた種だった。よーし、来年は朝顔満開にするぞ!(満開のものは昨年の写真)


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不安と緊張 密室 PART3 [生活]


「ちょっと、指をぐっーと伸ばしてみて、はい曲げて…」切り裂かれたまま動きの確認が始まる。医師たちは肉の中で伸び縮みする筋をきっと見ているに違いない。「どうですか、引っ掛からずに動くようになったでしょ」何度か指を動かしてみる。痺れて動作がしずらいものの指は確かにスムーズに伸び、違和感のないことを伝える。何だかサイボーグにでもなった気分になってきた。
「親指は終わりました、中指に注射しますよ」と同時に先ほどよりも痛いチクッーが三度も。シュワルツェネッガーやスターローンじゃあるまいし、やわなサイボーグは三回ともうなってしまった。より一層痺れきった手のひらでは最初と同じような作業の感触が伝わってくる。「もう少しですよ」看護婦が小声で言った。
「はーい、終わりました。後は縫っておしまいです」縫っている感触の後は、多分もう一人の看護婦が包帯を巻いている様子がわかったところでやっと緊張感が和らいだ。
「どうってことなかったでしょ」顔を遮っていた布が取られると同時に永嶋主治医はにこやかに言った。その後の説明を簡単にすませ三人の医師達は自分と看護婦二人を残し先に手術室を出る。約一時間と少しの手術が逐に終わったのだ。初老の看護婦はねぎらいの言葉をやさしくかけてくれる。「どうもお世話様でした」と言いながら台から身を起こすと、また例の車椅子に乗せられた。帰りは他の手術室の様子をきょろきょろと気楽に観察してしまう。元のロッカーの前でパンツ一枚になって着替えをしていると、先の診察室の方の若い看護婦が迎えに現われ、看護婦二人して靴下からズボン、シャツまではかせながら、「女、二人も侍らせるなんてそんなにありませんよ」とからかわれてしまった。手術室付の看護婦に再度礼と別れを告げた。「この仕事ばっかりはまた会いましょうとは言えませんからね」と重い扉ごしに会話しながら若い看護婦に連れ立って密室を抜け出すことができた。途中で看護婦と別れ、長い廊下を歩いて玄関に向かう。真白い包帯の巻かれた左手を見ていると、今迄こうゆうことには無縁なこともあって全くもって他人の手を見ているように思えてくる。
外はいつのまにか少し雨が降っている。どこからともなく真っ赤なもみじの葉が一枚舞い落ちた。
【おわり】


そうなんです。不安感と緊張感ある思いとはこんなオペレーションのことでした。内蔵手術なんてなったら、どうなっちゃうんでしょう!そんなことにならないためにも、おやじとしては日々の健康に気をつけなくちゃね!


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不安と緊張 密室 PART2 [生活]


なーんて、実は手術というには取るに足らないような手術なのだ、これが。
二年前より左手の親指の動きが鈍くなり第一関節が半分動かなくなったことに加えて、一年前より中指もこれに類似してバネ指になってしまい、近頃では親指の付け根にガングリオンというしこりが出来てしまったのが運の付き。動きが悪い原因は炎症をおこした腱の鞘というものが指の筋を圧迫しているためだという。これらを全て治すためには、二本の指の付け根を切開して悪い所を取ってしまえばそんなものはすぐに治っちまうと、手の専門だから安心していいと別の医者から紹介されたその整形外科医は人ごとだと思っていとも簡単に言ってのけた。
十字型にセッティングされた手術台に仰向けになった途端、例のライトが威圧してくる。初老の看護婦は仰向けの姿勢が苦しくないかを親切に尋ね我が侭を言う自分に台と背の間に布を押し込み適切な環境をせっせっと作ってくれる。手術する手を左の台に投げ出し、右手もまた点滴のために右の台に投げ出すという磔(はりつけ)の格好さながらになっていた。そうこうしていると、もう一人三十歳位の看護婦が入ってきて挨拶を交わす。二人はてきぱきと手術の準備にとりかかっている。しばらくすると、足元の開け放たれた入口より全身ライトブルーに被われた執刀する主治医と他に二人の若い男性医師が入ってくる。「いたくないようによろしく」と一言。若い医師がこれから手術する左手のガングリオンをさわり、わっ、こりゃ大きいやと品評の一言。
手術室の戸が静かに閉じられた。「では、始めます」手術の様子は見たくないと告げてあったので、左腕と顔とは布で完全に遮断された。布の向こうで手のひらから肘の方に至るまで入念に消毒を施している。「痛いことをする前には言いますから」と言い終わった途端、「麻酔の注射しますからちょっと痛いですよ」と同時にチクッー。ガマン、ガマンとこらえていると初老の看護婦が点滴している汗ばんだ右手にそっとガーゼの切れ端を握らせてくれた。左上腕部にはこれ以上無理という位に血の流れをとめるための紐が巻き付けられかなり痛みが走る。手のひらがジンジン痺れだしてきた。いつ切られるのだろうと思う間も無く電気メスは親指の付け根を裂いているようだった。皮をこじ開け引っ張ったり、肉をこじあけたりしている圧迫感だけが伝わってくる。脱脂綿で血を拭っているであろう感触も感じ取れる。「あーあ、白っぽいなあ」炎症をおこしている腱の鞘にいきついたらしい。はさみを使う音のあと、「もう少し下からがいいな」若い医師にやらせているのだろうか、ひそひそとマスク越しの会話が聞こえるがその言葉を拾わぬことにした。視界の拡がる右側では初老の看護婦が点滴のチェックやら十分毎位に血圧を計る。時折手術の進行具合を確かめるように左手の方に眼をやっている。目と目が合うと必ず言葉を交わしてくれる。
【続く】


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不安と緊張 密室 PART1 [生活]

自分にとってある一件で、このうえない不安感と緊張感ある思いをしたことがあった。勿論それまでにも不安や困惑、挫折や絶望を感じる事態は多々あったことはいうまでもないのだが。それはそれは、なんとも恐ろしい出来事だったのだ。
その意気地ない思いをここに綴る。

密室

12月1日、とうとうその日はやってきた。この2、3日何かそわそわと唇が乾く日が続いていた。
「では、12月1日ということで…」とその日を決めたのは数日前のことだった。多分緊張のせいなのだろう、その日を迎える夜は変な夢のせいで三度も眼を覚してしまった。軽い朝食をすませ、約束の場所へと向かった。東横線の中目黒を降り、山手通りを五反田方向に約十分。左に折れて橋を渡るとその建物が勢いよく迫ってくる。門が近づくにつれ歩幅が小さくなり、速度も鈍る。時計に眼をやると約束の時間にはまだ少し早い。黄色くなった銀杏が何本か並ぶ川沿いの道を歩く。川の流れは悪く、水が濁っている。眼下の茶色い川面を眺めながら、門をくぐると起こりうるであろう光景を脳裏から消そうと懸命に頭をからにしてみる。やっとのことで度胸を決めてユーターンした。
大きな建物の中はやけにガラーンとしている。来たことを告げソファーに腰をおろす。
20分位待っただろうか。「こちらにどうぞ」若い女性の声。その女性に従い長い廊下を歩く。緊張が一段と高まる。エレベーターを降りると重そうな扉が眼に飛び込んできた。女性はいとも簡単にその扉を押し開け自分を招き入れる。部屋に入ると同時に待ち構えていたかのように初老にも見える女性が歩み寄る。「おねがいしまーす」若い女性の方はその言葉を言い残し私を広い密室に閉じ込めた。
「緊張してるようですね」初老の女性はやさしく私に微笑んだ。
「では、着ているものを全部脱いでください」私は与えられた着物一枚だけを着せられ、次には車椅子に乗せられた。目隠しされますか?と尋ねられ断ると、眼は瞑っていたほうがいいとおもいますよと促し車椅子をゆっくり押し始める。一直線の廊下の両側には冷たい金属質の部屋が十室位並びほとんどの部屋の扉は開け放たれていた。私の眼は脇見せず廊下の床面を一心に見つめていた。車椅子は左側の三つ目の小部屋へと入った。ライトブルーにまとめられたその部屋は予想通りのものだった。この時緊張度は最高潮に達していた。その女性は何の躊躇もなく私を車椅子から立たせると、やや高めの幅の細いベッドにやさしく寝かせてくれた。その冷たく硬いベッドこそ自分が初めて体験する手術台というものだった。
【続く】


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