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マックン窓越しにたそがれの日々! [愛猫]


幼い頃の田舎での夏。変哲もない民家が碁盤の目に居並ぶ一角に住んでいた。最も気に入っていたのは、家から10分も歩けば結構きれいな白い砂浜と松林が続く海岸に行けることだった。夏場の夕刻にもなると、小さな子供たちがはしゃぎ廻る通りや路地には、縁台を出して涼む白いステテコ姿の親父達、そのなかに裸の背中に迫力ある昇り龍の刺青を見せる親父も。もちろん普通にパジャマや甚兵衛姿の親父達も。小さな庭の植物に柄杓で水をまく親父もいる。お母さん達の多くは夕ご飯作り。陽は山影に隠れ西の空はピンク色に染まる。そんな中に萩の生える狭い庭を挟んで、開け放たれた部屋の中が丸見えの障子戸の桟越しに、外に出るのも面倒だからと、やはりステテコ姿でたそがれる初老の親父。以前床屋を営んでいたが数年前に廃業した。子供ごころに夏場のこの親父の光景を2〜3年見ただろうか、これがこの親父の晩年の姿でその後静かにこの世から居なくなった。
このところ糖尿病と高齢による体力低下もあってか、愛猫マックンの窓越しに静かにたそがれる様子はあたかもこの世を悟ったかのようにも見える。そして、何故か昔見たさほどの縁もないこの親父の姿が頭を過る。晩年を悟ったかのように人々の様子を眺めていたこの親父の光景とオーバラップしてしまうのだ。
だからといわけでもないが、なるべくそっとしておいてやろう。


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